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東京高等裁判所 平成7年(行ケ)149号 判決

アメリカ合衆国

オハイオ州 43666 トレド、ワン・シーゲイト

原告

オーエンスーイリノイ・インコーポレーテッド

代表者

エイチ・ジー・ブラス

訴訟代理人弁理士

川原田一穂

阿部正博

訴訟復代理人弁理士

中嶋伸介

東京都千代田区霞が関3丁目4番3号

被告

特許庁長官 荒井寿光

指定代理人

米田昭

田中弘満

小川宗一

主文

特許庁が、平成5年審判第15066号事件について、平成6年12月22日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

主文と同旨。

2  被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、1985年7月12日にアメリカ合衆国でした特許出願に基づく優先権を主張して、昭和61年7月10日、名称を「スナップタイプのヒンジキャップを伴った閉鎖部材」とする発明(以下「本願発明」という。)について特許出願をした(特願昭61-161011号)が、平成5年3月11日に拒絶査定を受けたので、同年7月26日、これに対する不服の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を平成5年審判第15066号事件として審理したうえ、平成6年12月22日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、平成7年2月15日、原告に送達された。

2  特許請求の範囲(1)に記載された本願発明の要旨

スナップタイプのヒンジキャップを伴った閉鎖部材において、

容器の開放首部と相互係合する事に適合した第1部分と、キャップを形成している第2部分と、そして

第1部分及び第2部分を相互係合している一体成形ヒンジとを含み、該閉鎖部材が開放位置にある場合該一体成形ヒンジの下側は、半径方向横断面において逆V字形をして、Vの頂点においてヒンジラインを画定し、一方該ヒンジの上側は平坦面を形成し、

第1部分と第2部分の各々は基部壁と周辺スカートを含んでおり、

1対のヒンジストラップがスカートから一体成形ヒンジの両側において延びており、該一体成形ヒンジの各第1及び第2部分の接線方向長さはその半径方向巾の数倍でありかつストラップ各々の巾の数倍であり、

ストラップの端部は前記スカートにおける凹部中に位置しており、

前記ストラップの端部は角度のついた部分によって前記凹部の基部へ接続されており、

前記ストラップは、前記第1部分と前記第2部分とが開放位置にある場合には完全に直線状となり、

前記ストラップは、前記第1部分と前記第2部分とが閉鎖位置にある場合には湾曲しており、

上記ヒンジストラップ各々の長さは、上記キャップを形成している第2部分が上記第1部分に向けまたはそこから移動する円弧の長さより短い長さを有して該一対のストラップは、上記移動中スプリングとして働くように伸長し、

前記ストラップは、前記2つの位置のどちらにおいても緊張下になく、この2つの位置の中間点で緊張下にある

ことを特徴とする閉鎖部材。

3  審決の理由

審決は、別添審決書写し記載のとおり、本願発明は、実願昭56-160123号(実開昭58-65247号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」といい、そこに記載された考案(発明)を「引用例発明1」という。)及び特許出願公表昭57-502163号公報(以下「引用例2」といい、そこに記載された発明を「引用例発明2」という。)から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした。

第3  原告主張の審決取消事由の要点

審決の理由中、引用例1の記載事項(審決書4頁13~17行を除く。)及び引用例2の記載事項の認定、相違点〈2〉の判断、相違点〈3〉の判断における周知技術の認定(審決書9頁10~13行)は、認める。

審決は、引用例1の記載事項を誤認した結果、本願発明と引用例発明1との一致点の認定を誤り(取消事由1)、相違点〈1〉、〈3〉の判断を誤り(取消事由2)、本願発明が奏する顕著な作用効果を看過した(取消事由3)ものであるから、違法として取り消されなければならない。

1  引用例発明1の誤認(取消事由1)

(1)  審決は、引用例1に、「スナップタイプの3点式ヒンジ」の構成として「中央に位置する第2ヒンジ11の下側が、半径方向横断面において逆V字形をなし、また上側は略平坦な面となり、そのVの頂点においてヒンジラインを画定する構成」(審決書4頁14~17行)が開示されていると認定するが、誤りである。

まず、引用例発明1の3点式ヒンジは、「スナップタイプ」ヒンジではなく、ソフト開閉タイプヒンジである。

すなわち、引用例1(甲第5号証の2)は、その明細書に同一出願人の先願に係る実願昭55-128537号(実開昭57-52451号)のマイクロフィルム(甲第12号証の3、以下、図面も含めて「先願明細書」といい、そこに記載された考案を「先願考案」という。)を援用し、この先願の「考案を更に発展させ、改良したもの」であることを明記し、先願考案と同様に蓋体が開蓋時基体にかぶさらないことを目的とするものであるが、その蓋かぶさり防止装置の構成には一切触れていないのであるから、引用例発明1の「かぶさり防止部(3)」は、先願考案のヒンジ機構を、そのまま踏襲したことが明らかである。

ところで、本願明細書(甲第2、第4、第6、第7、第9号証、第11号証の2、第13号証。以下、甲第7、第13号証で表示する。)に記載されるとおり、いわゆる「スナップタイプ」ヒンジとは、ヒンジ上における張力に依存し、閉鎖部材たるキャップは閉鎖位置に向け、また閉鎖位置から動く際にスナップ動作を伴って作動するものである(甲第7号証3欄3行~23行参照)が、引用例1が援用する先願考案のかぶさり防止装置は、「この瓶蓋は上記の如く構成きれ、・・・その反転線Aの一直線上に応力が集中してしまうのを防ぐことができ、このため、従来の如く力を次第に強く加えてゆき、それが急に反転するという、急変する作動形態は改良され、応力が分散される結果、比較的衝撃の緩和されたやわらかい反転をなさしめることができ、家庭の婦女子等に前記の如き不快感を与えることを防止することができる。」(甲第12号証の3明細書3頁3~14行)と記載されるとおり、「スナップタイプ」でないことが明らかである。

また、引用例1では、かぶさり防止部の構造、機能について「第一図に示す如く第一ヒンジ10がほぼ直線状に伸びた状態において第二ヒンジ11は屈曲した状態となっており、このため第一ヒンジ10は第二ヒンジ11のために曲らないように付勢されており、このため蓋体2は基体1に被さらないようになつている。」(甲第5号証の2明細書3頁11~16行)と記載され、また、先願明細書には、「この考案の構成は第3図~第6図において、合成樹脂により基体1に、蓋2を連結片3、3及びヒンジ4により連結して形成し、前記連結片3、3に薄肉部5、5を形成し、前記ヒンジ4に断面ほぼ弧状の屈曲部6を設けたことを特徴とする瓶蓋である。」(甲第12号証の3明細書2頁5~10行)と記載され、これらの記載と先願明細書の第3、第6図を参照すれば、引用例発明1の第二ヒンジ11の下側は、下方に開いて半円形に湾曲し、またその上側は、下側湾曲部に対応して上方に半円形に湾曲しており、「略平坦」ではない。

したがって、引用例1には、本願発明の「中央に位置する第2ヒンジの下側が、半径方向横断面において逆V字形をなし、また上側は略平坦な面となり、そのVの頂点においてヒンジラインを画定する構成」は開示されていない。

(2)  また、審決は、本願発明と引用例発明1との対比において、「引用例1記載の『第1ヒンジ10』及び『第2ヒンジ11』は、その構造および機能面からみて、本件発明の『ヒンジストラップ』及び『一体成形ヒンジ』にそれぞれ相当するものであるから・・・引用例1記載の第1ヒンジ10、10の長さが、蓋体が基体に向けまたはそこから移動する円弧上での長さより短い長さを有し、移動中スプリングとして働くように伸張し、開放位置と閉鎖位置の中間点では緊張下にあることは明かであり」(審決書5頁16行~6頁7行)と認定するが、これも誤りである。

本願発明のヒンジ機構は、一対のヒンジストラップの長さを、蓋体が基体に向け又はそこから移動する円弧の長さより意図的に短くすることにより、スプリングの作用を達成し、移動中における緊張力増大に基づいて、断面V形のヒンジである一体成形ヒンジのヒンジラインにおいて急反転させるものであり、このヒンジストラップが「スナップタイプ」ヒンジの作用、機能を生じるものである。

これに対し、引用例発明1では、前示のとおり(甲第5号証の2明細書3頁11~16行)、第二ヒンジ11(審決は本願発明の一体成形ヒンジに相当すると認定する。)の屈曲部6が、スプリングとして働き、第一ヒンジ10、10(審決は本願発明の一対のストラップに相当すると認定する。以下、両側に位置する一対の第一ヒンジ10、10を併せて「第一ヒンジ10」という。)は、それ自体スプリングとして働くのではなく、屈曲部にスプリング作用を保持させる働きを有するにすぎないものである。しかも、引用例発明1の第一ヒンジ10は、開放位置と閉鎖位置の中間点で緊張ないし引張下にあるだけでなく、開放位置においては、前記のとおり屈曲した第二ヒンジ11の引張、緊張力下にあり、閉鎖位置でも、極限の屈曲状態下にあるといえる。

したがって、審決の「引用例1記載のヒンジ10、10が、第1~4図に見られるように開放状態と閉鎖状態においては、蓋体2が安定状態にあることから推して、前記中間点での緊張下の状態に比して、少なくともそれよりも小さな、常識的にみてわずかな緊張下の状態にあると解するのが相当であるから、してみると、このわずかな緊張下の状態が、本件発明で云う緊張下にない状態に比し格別技術的意義があるとは解されないので、この点は単なる設計事項」(審決書6頁8~17行)であるとの認定も、誤りである。

2  相違点についての判断の誤り(取消事由2)

(1)  相違点〈1〉について

引用例発明2のフラップヒンジは、本願発明及び引用例発明1と異なり、蓋のかぶさり防止を目的としていないし、またこのような作用も有しない単なる膜ヒンジにすぎない。しかも、引用例発明2の連結中間素子5、6は、ヒンジ部分7及びそれと連結する膜状ヒンジ9.1と10.1からなり、本願発明の一体成形ヒンジ及び一対のヒンジストラップの3部構成からなるものと明確に区別される。

また、引用例2に「第15図乃至18図の実施態様では、中間素子5.6が(注、1字不明)弾性を全く、またはほとんど持たない引張り素子から成る。」(甲第8号証の2第5頁右下欄16~18行)と記載されるとおり、その中間素子5、6は、弾性を全く又はほとんど持たない傾斜状態の引張り素子であり、本願発明の蓋閉鎖位置から開放位置へ、又はその逆においてスプリングとして働く弾性素材からなるものと全く異なる。しかも、本願発明のヒンジストラップ各々が、移動中スプリングとして働くように伸張する構成及び作用を有しない。

このように、引用例発明2は、本願発明と構成において全く異なり、その作用及び効果の何れも達成しない別個のヒンジに関するものであるから、審決が、「この構成を引用例1記載のものに採用し本件発明のように構成することは、当業者の容易に想到し得ることである。」(審決書8頁15~17行)と判断したことは、誤りである。

(2)  相違点〈3〉について

審決は、相違点〈3〉の判断において、「引用例1記載の略平坦な面が特に平坦面にすることを不可とする理由もない」(審決書9頁14~15行)と判断しているが、前述のとおり、引用例発明1の一体成形ヒンジは、先願考案のヒンジを援用しているところ、先願考案のヒンジ4は、断面ほぼ弧状の屈曲部にすることにより引張部材として作用させるものであるから、このヒンジ4の上側を平坦な面としたのでは引張部材として作用できず、したがって、審決の上記判断は誤りである。

3  作用効果の看過(取消事由3)

本願発明は、一対のストラップを含む特別なヒンジ機構及び作用により、ストラップが開放及び閉鎖位置の両方のいずれにおいても引張力の緊張下になく、ただこの両位置の中間点においてのみ引張緊張下にあるという効果を生じ、これにより開け閉め頻繁なヒンジにおける材料疲労を格別に軽減し、さらに、本願発明の構成により、従来の類似ヒンジに比しその構成が簡単かつコンパクトであり、閉鎖時にヒンジの外へ突出する部分を最小にできるという格別の効果を有するものである。この格別の作用効果は、引用例1及び2の各々、又はその組合せから容易になしうるものではない。

したがって、審決のこの点に関する判断(審決書10頁8~11行)は、誤りである。

第4  被告の反論の要点

審決の認定判断に誤りはなく、原告主張の取消事由は、いずれも理由がない。

1  取消事由1について

(1)  引用例発明1が、その先願考案の発展、改良に係ることは認めるが、引用例1は先願として先願明細書(甲第12号証の3)だけでなく、実願昭54-184322号(実開昭56-100355号)のマイクロフィルム(甲第12号証の2、以下、図面も含めて「別件明細書」といい、そこに記載された考案を「別件考案」という。)の両方を援用していることは明らかであり、これらに共通の構造は注ぎ口であるから、引用例1が援用しているのはこの共通の注ぎ口の構造だけである。

したがって、引用例1は、かぶさり防止の機構を援用しているのではなく、引用例1の図面を見て、それと似ている先願明細書のかぶさり防止の機構が援用されているとする原告の主張は、引用例1を曲解するものである。

そして、引用例発明1は、後記(2)のとおり、その構成・作用からみてスナップタイプのヒンジであり、中央に位置する第二ヒンジ11が、スナップ動作を伴うため支点となるヒンジに相当するものであるから、引用例発明1が「スナップタイプの3点式ヒンジ」であり、「中央に位置する第2ヒンジ11の下側が、半径方向横断面において逆V字形をなし、また上側は略平坦な面となり、そのVの頂点においてヒンジラインを画定する構成」(審決書4頁14~17行)と認定したことに、誤りはない。

(2)  3点式ヒンジとは、蓋を容器本体に屈曲部を介して連結するヒンジであり(以下「広義のヒンジ」という。)、この広義のヒンジ機構は、蓋の開閉動作の支点を形成するヒンジ部材(以下「狭義のヒンジ」という。)と、蓋の開閉に伴って引伸力が作用し、始めの状態に戻ろうとする力が蓄積される部材、すなわちスナップ動作を行わせるための引張作用を司る連結部材(張力部材)とから構成されるものである。

この広義の3点式ヒンジの基本構造及び基本原理と、当業者の技術常識を前提として、引用例発明1を考察すると、その第二ヒンジ11は、屈曲部の移動を伴うがスナップ動作を生じさせる支点として作用し、第一ヒンジ10は、スナップ動作を生じさせるための引張力を蓄積させるものであることは明らかである。ただし、第二ヒンジ11も一定の引張力を有するから、各々の力は拮抗するものといえる。

そうすると、引用例1の第一ヒンジ10がスナップ動作を伴うための引張作用をもたらす連結部材(引張部材)に相当し、第二ヒンジ11がスナップ動作を伴うため支点となる狭義のヒンジに相当するものであるから、審決が引用例1記載の「第一ヒンジ10」及び「第二ヒンジ11」は、その構造及び機能面からみて、本件発明の「ヒンジストラップ」及び「一体成形ヒンジ」にそれぞれ相当すると認定した(審決書5頁16~19行)ことに誤りはない。

2  取消事由2について

(1)  相違点〈1〉について

引用例発明2のフラップヒンジは、不安定平衡状態(死点)を有することから、蓋のかぶさり防止をも目的としていることは明らかであり、引用例2(甲第8号証の2)の第17図には、中間素子5、6の端部が各々スカートにおける凹部中に位置しており、その端部が角度のついた膜状ヒンジ部分10.1によって凹部の基部へ接続されている構図が図示されており、その中間素子5、6が本願発明のヒンジストラップに対応することが明らかである。

したがって、審決が「引用例2・・・に、バネ式にキャップを開閉するキャップであって、キャップの外側に突出部分が全くあるいはほとんど存在しないように意図して、中間素子5、6(本件のヒンジストラップに対応する)の端部が各々スカートにおける凹部中に位置しており、その端部が角度のついた膜状ヒンジ部分10、1によって凹部の基部へ接続されている構成(第15ないし18図とその説明)が記載されているから、同じ課題を解決するために、この構成を引用例1記載のものに採用し本件発明のように構成することは、当業者の容易に想到し得ることである。」(審決書8頁6~17行)と判断したことに、誤りはない。

(2)  相違点〈3〉について

前示のとおり、引用例1の援用する別件明細書(甲第12号証の2)及び先願明細書(甲第12号証の3)は、引用例1の記載とは直接の関係はなく、その記載の範囲外のことであるから、引用例発明1の一体成形ヒンジの上側は、略平坦であるといえる。

一方、一体成形ヒンジの上側を平坦面に形成することが周知技術であることは、原告も認めるところであり、実開昭56-109944号公報(乙第3号証)及び米国特許第4386714号明細書(乙第4号証)にも開示されるものである。

したがって、審決が「この技術を引用例1の一体成形ヒンジに適用し、本件発明のように構成することは、当業者が容易になし得ることである。」と判断したことに、誤りはない。

ただし、引用例発明1の一体成形ヒンジ(第二ヒンジ11)の上側を平坦面に形成した場合、その引張力が失われてしまうことは認める。

3  取消事由3について

引用例発明1は、開放位置及び閉鎖位置の両方のいずれにおいても引張力の緊張下になく、ただこの両位置の中間点においてのみ引張緊張下にあるという効果を生じるものであり、これによりヒンジにおける材料疲労を格別に軽減し、このことは開け閉め頻繁なヒンジに好ましい利点であることも明らかである。また、その構成が簡単かつコンパクトであり、閉鎖時にヒンジの外へ突出する部分を最小にできるという効果は、引用例発明1及び引用例発明2のそれぞれ、又はその組合わせから容易になしうるものである。

したがって、この点に関する審決の判断(審決書10頁8~11行)に、誤りはない。

第5  証拠

本件記録中の書証目録の記載を引用する。書証の成立については、いずれも当事者間に争いがない。

第6  当裁判所の判断

1  取消事由1(引用例発明1の誤認)について

審決の理由中、本願発明の要旨の認定、引用例1の記載事項(審決書4頁13~17行を除く。)の認定は、当事者間に争いがない。

本願発明につき、本願明細書(甲第7、第13号証)には、「一対のヒンジストラツプ(hinge strap)がスカートから延在しており、且つ一体成形ヒンジの両側において位置している。ストラツプの端部はスカートにおける凹部中に位置している。ストラツプの端部は角度のついた部分によつて該凹部の基部へ接続されている。ストラツプは第1部分と第2部分とが開放位置にある場合には実質的に直線状となり、第1部分と第2部分とが閉鎖位置にある場合には湾曲している。ストラツプは該2つの位置のどちらにおいても緊張下にない。該一対のヒンジストラツプの半径方向長さは円弧の長さよりも短く、該円弧を介して、第2のキヤツプ部分が第1部分に対する閉鎖位置に向けて動き且つ該閉鎖位置から動き、その結果、該一対のストラツプはスプリングとして機能する様に伸長する。」(甲第7号証3欄31行~4欄2行)、「一体成形ヒンジ13は、安定性を提供する為、その幅の数倍の長さを有する。ヒンジ13は、肩部16の平面及びスカート21の自由縁部において該ヒンジの上方表面を有する。ヒンジ13はスカート21及び15のそれぞれの平坦な部分21a及び15aから延在しており、その結果、ヒンジ動作は略々直線となつている。ヒンジ13の下側は、半径方向横断面において逆V字形をしており、Vの頂点においてヒンジラインを画定する。1対のヒンジストラツプ27が設けられており、ヒンジ13の各側において1つの該ストラツプが設けられている。一体成形ヒンジ13の長さは、ストラツプ27の各々の幅の数倍である。・・・各ストラツプ27は、ストラツプが作動、即ち部分11上の部分12を開放し且つ閉鎖する作動において、該ストラツプが伸長する様な形状となつている。」(同号証5欄40行~6欄25行)と記載されている。

これらの記載及び前示本願発明の要旨によれば、本願発明は、両側に位置する一対のヒンジストラップの長さを、キャップが閉鎖に向けて動き又はそこから移動する円弧の長さより短い長さにすることにより、移動中スプリングとして働かせるとともに、キャップの開放位置と閉鎖位置では緊張下にないようにするものであり、また、中央に位置する一体成形ヒンジは、半径方向横断面において逆V字形をしており、Vの頂点においてヒンジラインを画定するのみであって、スプリング作用を有しないものと認められる。

これに対し、引用例1(甲第5号証の2)には、「この考案の考案者は先に、瓶を傾けて瓶内の液体を流出させる際、開放した蓋体が、瓶口に固定した蓋体に連結されており、かつ該蓋体は前記基体にかぶさらない瓶蓋を考案し、実用新案登録出願を行つた。(実願昭54-184322号、及び実願昭55-128537号)この考案によれば、蓋体を開いた際、その蓋体はそのままでは瓶口上端に設けた基体にかぶさらないようになつており、液体の流出等の場合に便利であつた。この考案は上記の考案を更に発展させ、改良したものであり、その目的は上記の如く蓋体が開蓋時基体にかぶさらない瓶蓋において成形材料を節約でき、それにもかかわらず確実に注ぎ口からの垂れ液の回収できる瓶蓋を得ることである。」(同号証の2明細書1頁18行~2頁12行)、「前記かぶさり防止部3は、一例として図に示すように形成された。即ち第一図に示す如く第一ヒンジ10がほぼ直線状に伸びた状態において第二ヒンジ11は屈曲した状態となつており、このため第一ヒンジ10は第二ヒンジ11のために曲らないように付勢されており、このため蓋体2は基体1に被さらないようになつている。」(同3頁10~16行)と記載されている。

また、上記で引用される先願考案(実願昭55-128537号)を記載した先願明細書(甲第12号証の3)には、「従来、第1図及び第2図に示すようなヒンジ形式の瓶蓋が用いられている。これを図について説明すると、aは基体であり、bは蓋、cは連結片、dはヒンジである。このような瓶蓋は蓋bを開いた際、連結片cが硬直して、蓋bが基体a上にかぶさらないので賞用されている。なお仮装線Aは反転線を示す。ところがこのような形式の瓶蓋は、蓋bを開閉させる場合、開又は閉方向に次第に力を加えていき、それが一定限度をこすと急に作動するようになつている。このような急変する不連続の作動形態は、蓋bを開閉する家庭の婦女子等に不快感を与える。この考案は上記の状況にかんがみてなされたもので、この考案の構成は第3図~第6図において、合成樹脂により基体1に、蓋2を連結片3、3及びヒンジ4により連結して形成し、前記連結片3、3に薄肉部5、5を形成し、前記ヒンジ4に断面ほぼ弧状の屈曲部6を設けたことを特徴とする瓶蓋である。」(同号証の3明細書1頁12行~2頁10行)、「前記屈曲部6は、その両側に曲率半径ra、rbを有して形成された。この瓶蓋は上記の如く構成され、前記ヒンジ4に断面ほぼ弧状の屈曲部6を形成したから、このヒンジ4には第1図に示す従来例のヒンジdの如く、その反転線Aの一直線上に応力が集中してしまうのを防ぐことができ、このため、従来の如く力を次第に強く加えてゆき、それが急に反転するという、急変する作動形態は改良され、応力が分散される結果、比較的衝撃の緩和されたやわらかい反転をなさしめることができ、家庭の婦女子等に前記の如き不快感を与えることを防止することができる。」(同3頁2~14行)と記載されている。

これらの記載によれば、引用例発明1は、先願考案及び別件考案(実願昭54-184322号)を更に発展させて改良したものであり、その目的の1つは、先願考案と同様に蓋体が開蓋時基体にかぶさることを防止するものであるが、そのかぶさり防止部(ヒンジ)の具体的形状については、引用例1(甲第5号証の2)の第1、第2図及び上記「ヒンジ10がほぼ直線状に伸びた状態において第二ヒンジ11は屈曲した状態となつており、このため第一ヒンジ10は第二ヒンジ11のために曲らないように付勢されており」との記載から、中央部に位置し開蓋時に屈曲した状態の第二ヒンジ11がその両側に位置しほぼ直線状の第一ヒンジ10を付勢するもの、すなわち第二ヒンジ11がスプリングとしての作用を有するものであると認められる。そして、先願考案のかぶさり防止部は、引用例発明1と同様に、中央部に位置するヒンジ4とその両側に位置する連結片3、3とで構成され、ヒンジ4が蓋の開閉のためのスプリング部材として作用し、その急激な反転作用を緩和させるためにほぼ弧状の屈曲部を形成し、また、ヒンジ4の薄肉部5がヒンジ面としても働くものであると認められる。これに対し、別件明細書(甲第12号証の2)によれば、別件考案では、左右のヒンジに対する中央部分にはヒンジが形成されておらず、左右のヒンジを付勢するようなスプリング作用を有する部材は認められないことが明らかである。

そうすると、引用例発明1の第1、第2図において示された「第一ヒンジ10」及び「第二ヒンジ11」と、先願考案における「連結片3、3」及び「ヒンジ4」とは、それぞれ同様の目的、構成及び作用を有するものであり、本願発明のかぶさり防止部(ヒンジ)は、先願考案のそれを前提とするものと認めるのが相当といえる。

以上のことからすると、引用例1は先願考案のかぶさり防止の機構を援用しているのではないとする被告の主張に理由がないことは、明らかである。

そして、本願発明では、前示のとおり、両側に位置する一対のヒンジストラップは、その長さを、キャップが閉鎖に向けて動き又はそこから移動する円弧の長さより短い長さにすることにより、移動中スプリングとして働き、中央に位置する一体成形ヒンジは、半径方向横断面において逆V字形であり、Vの頂点にヒンジラインを画定するがスプリング作用を有しないのに対し、引用例発明1の両側に位置する「第一ヒンジ10」は、その薄肉部がヒンジ面としての働き、その長さを蓋体の開閉移動時の円弧長さより短く構成して移動中スプリングとして働くものとはいえないが、中央に位置する「第二ヒンジ11」は、断面ほぼ弧状の屈曲部として形成され、引張部材として作用するものであるから、それぞれ本願発明の「ヒンジストラップ」及び「一体成形ヒンジ」とは構造、機能面からみて異なるものと認められる。

したがって、審決の、「引用例1記載の『第1ヒンジ10』及び『第2ヒンジ11』は、その構造および機能面からみて、本件発明の『ヒンジストラップ』及び「一体成形ヒンジ』にそれぞれ相当するものであるから・・・引用例1記載の第1ヒンジ10、10の長さが、蓋体が基体に向けまたはそこから移動する円弧上での長さより短い長さを有し、移動中スプリングとして働くように伸張し」(審決書5頁16行~6頁5行)との認定は誤りであり、引用例発明1の第一ヒンジ10及び第二ヒンジ11と、本願発明のヒンジストラップ及び一体成形ヒンジとは、実質的に相違するものといわなければならない。

2  取消事由2(相違点の判断の誤り)について

審決は、相違点〈3〉の判断において、「引用例1記載の略平坦な面が特に平坦面にすることを不可とする理由もない」(審決書9頁14~15行)ことを前提に、一体成形ヒンジの上側を平坦に形成することが周知技術であるから、この点に係る本願発明の構成を採用することは容易であると判断している(同頁16~18行)が、前示のとおり、引用例発明1の一体成形ヒンジ(第二ヒンジ11)は、断面ほぼ弧状の屈曲部にすることにより引張部材として作用させるものであり、本願発明の一体成形ヒンジの「下側が、半径方向横断面において逆V字形をなし、また、上側は略平坦な面となり、そのVの頂点においてヒンジラインを画定する構成」ではないから、このヒンジの上側を平坦な面としたのでは引張部材として作用できないことが明らかであり、審決の上記判断は誤りといわなければならない。

被告は、引用例発明1の第一ヒンジ10がスナップ動作を行うための引張作用をもたらす連結部材であり、第二ヒンジ11がそのための支点となるヒンジに相当するとして、その構成及び作用等を詳細に主張するところ、仮にその説明に正当な点があるとしても、第二ヒンジ11が第一ヒンジ10を付勢する一定の引張力を有することは争いがなく、その場合に、第二ヒンジ11(一体成形ヒンジ)の上側を平坦面に形成すれば当該引張力が失われてしまうことも、被告が認めるところであるから、上記主張の当否にかかわらず、相違点〈3〉についての判断は誤りであるといわなければならない。

以上のとおり、審決における、引用例発明1の第一ヒンジ10及び第二ヒンジ11が、その構造および機能面からみて、本願発明のヒンジストラップ及び一体成形ヒンジにそれぞれ相当するとの一致点についての認定は誤りであり、審決はこれらの相違について実質的に判断をしておらず、このことが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、他の審決取消事由について検討するまでもなく、審決は違法であって取消しを免れない。

3  よって、原告の本訴請求を正当として認容することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 石原直樹 裁判官 清水節)

平成5年審判第15066号

審決

アメリカ合衆国オハイオ州43666トレド、ワン・シーゲイト(番地なし)

請求人 オーエンスーイリノイ・インコーボレーテッド

東京都港区愛宕1丁目2番2号 第9森ビル8階

代理人弁理士 川原田一穂

昭和61年特許願第161011号「スナツプタイプのヒンジキヤツプを伴つた閉鎖部材」拒絶査定に対する審判事件(平成3年8月14日出願公告、特公平3-53182)について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

理由

本願は、昭和61年7月10日(優先権主張1985年7月12日、米国)の出願であって、その発明の要旨は、平成6年11月7日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲第1項に記載されたとおりの、

「スナップタイプのヒンジキャップを伴った閉鎖部材において、

容器の解放首部と相互係合することに適合した第1部分と、

キャップを形成している第2部分と、そして

第1部分及び第2部分を相互係合している一体成形ヒンジとを含み、該閉鎖部材が解放位置にある場合該一体成形ヒンジの下側は、半径方向横断面において逆V字形をして、Vの頂点においてヒンジラインを画定し、一方該ヒンジの上側は平坦面を形成し、

第1部分と第2部分の各々は基部壁と周辺スカートとを含んでおり、

1対のヒンジストラップがスカートから一体成形ヒンジの両側において延びており、該一体成形ヒンジの各第1及び第2部分の接線方向長さはその半径方向巾の数倍でありかつストラップ各々の巾の数倍であり、

ストラップの端部は前記スカートにおける凹部中に位置しており、

前記ストラップの端部は角度のついた部分によって前記凹部の基部へ接続されており、

前記ストラップは、前記第1部分と前記第2部分とが解放位置にある場合には完全に直線状となり、

前記ストラップは、前記第1部分と前記第2部分とが閉鎖位置にある場合には湾曲しており、

上記ヒンジストラップ各々の長さは、上記キャップを形成している第2部分が上記第1部分に向けまたはそこから移動する円弧の長さより短い長さを有して該一対のストラップは、上記移動中スプリングとして働くように伸張し、

前記ストラップは前記2つの位置のどちらにおいても緊張下になく、この2つの位置の中間点で緊張下にある

ことを特徴とする閉鎖部材。」

にあるものと認める。

これに対して、当審における拒絶の理由で引用した実願昭56-160123号(実開昭58-65247号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という)には、

瓶口に固定する基体1と、これに連結する蓋体2とから成る瓶蓋に関するものにおいて、その基体1と蓋体2とを相互に連結し係合するところのスナップタイプの3点式ヒンジの構成として、

イ、中央に位置する第2ヒンジ11の下側が、半径方向横断面において逆V字形をなし、また上側は略平坦な面となり、そのVの頂点においてヒンジラインを画定する構成。

ロ、1対の第1ヒンジ10、10が基体および蓋体の各々のスカート部から第2ヒンジ11の両側において延びており、第2ヒンジ11の接線方向長さは、半径方向巾とほゞ同じか少し大であり、かっ第1ヒンジ10、10の各々の巾の略2倍になっている構成。

ハ、第1ヒンジ10、10は、基体1と蓋体2とが開放位置にあるとき略直線状となり、また、閉鎖位置にあるとき湾曲している構成。がそれぞれ図面上に開示されており、

また、上記ハ、の「略直線状」については明細書にも、

ニ、「第1図に示す如く第1ヒンジ10がほぼ直線状に伸びた状態において第2ヒンジ11は屈曲した状態となっており、………」(第3頁第11~13行)が記載されている。

そこで、本件発明と引用例1記載の発明とを対比すると、

引用例1記載の「第1ヒンジ10」及び「第2ヒンジ11」は、その構造および機能面からみて、本件発明の「ヒンジストラップ」及び「一体成形ヒンジ」にそれぞれ相当するものであるから、

引用例1記載のヒンジ機構が、スナップタイプの3点式ヒンジであることに、上記ニ、の記載を勘案すると、引用例1記載の第1ヒンジ10、10の長さが、蓋体が基体に向けまたはそこから移動する円弧上での長さより短い長さを有し、移動中スプリングとして働くように伸張し、開放位置と閉鎖位置の中間点では緊張下にあることは明かであり、

また、引用例1記載のヒンジ10、10が、第1~4図に見られるように開放状態と閉鎖状態においては、蓋体2が安定状態にあることから推して、前記中間点での緊張下の状態に比して、少なくともそれよりも小さな、常識的にみてわずかな緊張下の状態にあると解するのが相当であるから、してみると、このわずかな緊張下の状態が、本件発明で云う緊張下にない状態に比し格別技術的意義があるとは解されないので、この点は単なる設計的事項ととらえられ、

結局両者は、次の点で相違するが、その余の点では実質的に差異はないものと認める。

相違点

〈1〉.本件発明は、ストラップの端部はスカートにおける凹部中に位置しており、ストラップの端部は角度のついた部分によって凹部の基部へ接続されている点。

〈2〉.本件発明では、一体成形ヒンジの各第1及び第2部分の接線方向長さはその半径方向巾の数倍であり、かつストラップ各々の巾の数倍であるのに対して、引用例1記載の発明は、接線方向長さと半径方向巾は略同じ長さであり、かストラップ各々の巾の略2倍である点。

〈3〉.本件発明は、閉鎖部材が解放位置にある場合、一体成形ヒンジの上側は平坦面を形成するのに対して、引用例1記載の発明は、図面上では略平坦な面と見られるが、この点について特段の記載がない点。

〈4〉.開放位置にある場合の一対のヒンジストラップが、本件発明では、完全に直線状となるのに対して、引用例1記載の発明では、ほゞ直線状と記載され、図面ではわづかに上方に湾曲しているように見られる点。

そこで、上記相違点について検討すると、

相違点〈1〉については、

当審における拒絶の理由で引用した本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である、特許出願公表昭57-502163号公報(以下、「引用例2」という。)に、バネ式にキャップを開閉するキャップであって、キャップの外側に突出部分が全くあるいはほとんど存在しないように意図して、中間素子5、6(本件のヒンジストラップに対応する)の端部が各々スカートにおける凹部中に位置しており、その端部が角度のついた膜状ヒンジ部分10、1によって凹部の基部へ接続されている構成(第15ないし18図とその説明)が記載されているから、同じ課題を解決するために、この構成を引用例1記載のものに採用し本件発明のように構成することは、当業者の容易に想到し得ることである。

相違点〈2〉については、

一体成形ヒンジの安定性を提供するためには、スカート面に接する方の長さ、すなわち接線方向長さを大きくとり、一方第1部分と第2部分の離間長さ、すなわち接線方向巾を小さくとり本願発明のように構成することは、設計上の常識であって当業者の容易に想起し、何ら工夫を要することなく容易に実施し得ることである。また、ストラップ各々の巾の略2倍のものを数倍にすることも、必要に応じて適宜なし得る設計的事項にしかすぎない。

相違点〈3〉については、

一体成形ヒンジの上側を平坦面に形成することは、通常この種のヒンジ体では一般に慣用されている周知技術(実開昭56-109944号公報、米国特許第4、386、714号明細書……等参照)であって、また、引用例1記載の略平坦な面が特に平坦面にすることを不可とする理由もないので、この技術を引用例1の一体成形ヒンジに適用し、本件発明のよう構成することは、当業者が容易になし得ることである。

相違点〈4〉については、

開放位置にある場合の一対のヒンジストラップが、完全に直線状となるようにすることにより、本件発明において特別の作用を奏し、特有の効果を生じるものとは解されず、またそのように解すべき特段の理由は明細書には見出せない。よって、引用例1記載のわずかに上方に湾曲しているように見えるほゞ直線状のものに替えて、完全に直線状にすることは、単なる設計変更にすぎない。

そして、本件発明の奏する効果は、引用例1及び引用例2記載の発明が有する各効果から当業者が予測することができる程度のものであって、格別のものとは云えない。

したがって、本件発明は、引用例1及び引用例2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論の通り審決する。

平成6年12月22日

審判長 特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

請求人 被請求人 のため出訴期間として90日を附加する。

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